2011年9月28日水曜日

雑 感:日本の「自由や人権」は無くなってしまうのか?

<始めに>
驚いた事に「日本」と入力したら上記タイトルが自動的に出た。多くの人達が危惧しているテーマなのであろうか。そして日本の「自由や人権」は結論から言えば「かなり危うい段階」まで来てしまっていると言えよう。

<何故そうなって来たのか>
これまで宗主国の米国が巧妙に官僚・マスコミを使って管理して来たので私等は最近まで気付かなかった。日本は敗戦後サンフランシスコ講和条約締結後もずっと実質的には独立国では無く米国に完全に隷属した官僚・マスコミを通じて上手に支配され続けていたのだ。

特に最近の米国は金融政策・投資の大失敗で大赤字を負ってしまっていて、その負担を多くの世界中の国民に有無を言わさず押し付けようとしている段階だ。リーマンショックを上回る国際金融システムの崩落が間近に迫って来ている。(10月中という人も出始めた)それを帳消しにする為の(核)戦争という人類の大虐殺の危険性も出始めている。

既に米国内における「自由や人権」の抑圧は進行しており、日本も同様の法律を導入して抑圧していく過程にある。裁判員制度や検察審査会制度がその道具となって陸山会事件に繋がっている。司法は既に問答無用で隷属を要求し始めているのだ。

これに対抗する勢力はまだ十分団結するまでに至っていない。しかし潜在的に米国への完全隷属を良しとしない人達が根強く存在するのは当然であり、今後どういう流れになっていくかの岐路で激しく綱引き・小競り合いを継続している段階だ。

米国も既に圧倒的な一国覇権を維持出来る経済状況でなく、日本の官僚・マスコミ・自公・民主党の隷属グループを通じて日本の富を奪い取り覇権の維持を図ろうとしている。しかし本当の国民世論をバックにした小沢グループの抵抗力は根強いものがあり、2012年からの導入を強行しようとした消費税増税も2010年代半ば以降にまで後退した。その替わりにやむを得ず復興増税だと偽り、所得税・住民税増税を2013年から導入する事で押し切ろうとしているが、良識派の抵抗でその税率も僅かだが引き下げられて決着しそうだ。

<背景>
米国とその手先の官僚達は日本をTPPへ強制加入させ国民皆保険もなし崩しにして完全に米国とほぼ同一の制度の国にさせて中小企業を潰し、大企業に利益を集中させて株式を買い占め経営権を握って支配を強化していくつもりのようだ。

何よりも軍隊・検察・警察・記者クラブマスコミ・司法を完全に支配して、暴力や暴力的言論で恐怖政治を行わせようとしている。一昔前には同様の手段で共産党の幹部・民社党等を寝返らせ55年体制を作りうまく管理して来たが、それが崩れたら今度は菅や仙谷・枝野等の左翼崩れ中心の民主党を通じて日本を管理しようとしている。しかし資本主義経済知識も義理人情も欠落した彼らを日本人が信用する筈もなく、まして前原如きゴマすり綺麗ごと上っ面人間では例え米国が全面的に支持しようと日本をまともに統率出来る筈がないではないか。

日本の戦後資本主義の発展を担った中核である保守層の良質有能・勤勉な人達が小沢氏を支持する層を形成しているのだ。この人達を米国・官僚に完全に隷属しないからと言う理由で排除したら、何の理念も無い屑とゴマすりと苦労なしの2世お坊ちゃん政治家ばっかりで日本を管理しようという事になりうまくいく筈がない。

官僚組織がある意味優秀な事は否定しないが、前例踏襲が主で変化に対応出来ず自分達の権益維持以外に関心がない人達が、どんなに力づくで自主的・自立的・創造的国民を抑え込もうとしても心が通じず、無理である。それでも無理やり押さえ込もうとすれば米国の一国覇権の衰えを加速させる位の抵抗を覚悟すべきだろう。

<今後の展開の観測>
①福島原発事故の被曝の悪影響を最小限に抑え込む事。これは経産省・文科省・厚労省・環境省・東電・マスコミの権限を大きくせず、地元に財源を委ねてやっていくべきだろう。ただ宮城県等が大企業・外資中心の復興を考えているようだが一部はやむを得ないのではないか。

②共謀罪や人権擁護法案等の悪用でますます息苦しい国家に向かうのであれば、日本人や日本の文化は滅びに向かい、今のチベットや大昔のカルタゴのようになってしまうリスクも孕んで来た。

③特定の宗教を持たない上に、喜怒哀楽の怒の感情まで失ってしまったら存在してもあまり意味がなくなっていく。特定組織の利益に完全隷属する・現世利益のみ追及する宗教にのめり込む、でない宗教・倫理の大切さをもう一度考え直し徹底的に論議する時期が来ている。各自の行動規範がバラバラで皆が個利個略・趣味趣向も1億人1億色ではバラエティーに富むとか個性的でいい等と言っていられるレベルではないのではないか。党の綱領の無い民主党ではうまくいく筈が無い。

④共産主義・社会主義でない自由主義・資本主義で極く少数の強者の独り勝ちでない調整・再配分をうまくやり多くの人が納得するやり方は熟議すれば十分可能なのではないか。帝国主義・軍事力等暴力第一主義を超克する事は難しいがやらないと戦争しか無くなってしまう。

<最後に>
国というものが存在する以上、そのリーダーの資質・行動は本当に大きな影響を国民に及ぼす。今は世界中が混乱・激動期を迎えている。日本はその上に恐ろしい原発事故が加わっているのだ。

更にマスコミの劣化・思考力低下がこれ以上は考えにくい所まで来てしまっており、国民も近い将来に命・健康に悪影響を及ぼす被曝問題には多大の関心を持つが(それでも脳天気な人達もいる)
国家の根幹をなす司法の公正・税制の中立・平和を守る軍備の在り方・警察の在り方への関心が諦めからか巧妙に思考力を奪われた為か、関心が薄くなり過ぎている。

しかしUst・ブログ・Twitterの発展、情報交換が新しい胎動を起こし始めたのも事実だ。良質のフリー・ジャーナリストやNGO等の団体・個人の活動がますます良い相乗効果を齎して、少数者の力に多くの人達が屈服せず連携していく事が重要になっている。
ただこの人達は一つ一つの団体・一人一人の個人の個性が強くあまり纏まって行動する事は好きでも得意でもなさそうだが、いずれ大同団結していく事を期待して毎日コツコツ歩んでいきたい。

2011年9月14日水曜日

トルコに学ぶ

<始めに>

今年4月初旬に11日間のトルコ旅行に行って来た。それまでトルコの事はあまり何も知らず庄野真代の「飛んでイスタンプール」位しか思いつかなかったが、
①西洋と東洋の狭間で燦々たる歴史を持ち、現在は親欧米国としてNATO、欧州評議会等に加盟している。欧州と中東のイスラム諸国との仲を取り持ち、国際的に存在感を深めている国である事。
②イスラム教徒が99%のお国柄で、イスラムの雰囲気に触れてみたい事。
③料理も世界三大料理で美味と聞いている事。
等があり旅行先に選んだ。成田→アタチュルク国際空港迄トルコ航空で12時間で行ける国だった。

<長く深い歴史の宝庫。活気溢れる誇り高き国だった!>

イスタンプールとイズミール、エフェソス遺跡、パムッカレ、カッパドキアを巡った。

【イスタンプール】
ボスポラス海峡を挟んでヨーロッパ側とアジア側に分かれている1400万人の都市。ビザンチン帝国時代はコンスタンティノポリス、その後オスマン帝国の首都として繁栄を続けた。欧州側は金角湾を挟んで旧市街と新市街に分かれている。

この見所の多い街の中でも圧巻はブルーモスク(スルタン・アフメット・ジャミィ)と呼ばれるイスラム教寺院だ。天井の高いドームの内部装飾の青いタイルの美しさは息を飲む。ここは現役の寺院で多くのイスラム教徒がメッカの方角に向けて参拝している中、観光客も受け入れてくれているのだ。(バリ島では外部からの撮影も許されなかったが)又この寺院は6本のミナレット(尖塔)を持つのでも有名。(通常は4本で、他に6本あるのは聖地メッカだけだそうだ)
地下宮殿の貯水池はビザンチンからオスマン朝にかけて作られたもの。ギリシャ・ローマの遺跡から運んだ柱を使っている。ボスポラス海峡クルーズを楽しみ、トルコが原産のチューリップの公園も散歩出来た。(オランダより綺麗だった)グラントバザールで買い物(値引き交渉も楽しい)し、夜はベリーダンスを楽しんだ。
最終日アヤソフィアへ。もとはキリスト教の寺院だったが1453年コンスタンティノープル陥落とともにイスラム教の寺院に作り替えられた寺院。2階にキリスト教のフレスコ画が残されていた。(完全に消してしまわない事に興味を抱く)最後にオスマン朝のサルタンの居城トプカプ宮殿へ。ハーレム跡と、宝物殿の49個のダイヤモンドで囲まれた86カラットのダイヤモンドは見物であった。
【イズミール】
トルコ第3の都市。エーゲ海の真珠と言われるリゾート地。夏になると欧州各地からの避暑で賑わうというが4月はひっそりとした中でホテルからのエーゲ海の展望は素晴らしい!の一語に尽きた。
【エフェソス】
紀元前11世紀にイオニア人が作り約10万人が暮らしていた都市の遺跡。当時の議会でもあった音楽堂(ソクラテスも演説した?)等目抜き通りを歩きタイムスリップを味わった。近くに旧約聖書にも描かれているという“聖母マリアの家”へ。
【パムッカレ(緑の城)】
広大な階段状の石灰棚で青い水が美しく眺望も素晴らしい。BC190年頃はヒエラポリスという街があったとの事。
【カッパドキア】
TV・絵ハガキ等で見た事があったが、巨大な1枚岩の城塞や奇岩群は数もスケールも行って実感して欲しい。奇岩の洞窟の中に作ったホテルにビックリしたが良いホテルだった。別の洞窟住居に今も暮らす夫婦にお茶を頂いたり、BC400年頃キリスト教徒約2万人が暮らしたカイマクルという地下都市を尋ねたり。興味は尽きなかった。
現在は原発もなく(計画はあるようだが)、周囲を黒海・マルマラ海・エーゲ海に囲まれ海の幸も豊富。土地も広大で麦・野菜・果物・オリーブに加え米まで取れる。収入もそこそこで本当に暮らしやすそうな魅力的な国であった。

<政治>


【建国の英雄ケマル・アタチュルク】
・1914~18年の第一次世界大戦中にオスマン帝国は中央同盟側で参戦。首都イスタンプールの喉元の街ゲリボルやアナファルタルに進行した英仏軍を食い止め「アナファルタルの英雄」と名声を得る。その後も英連邦軍に抵抗を続けたが1918年10月末連合国とオスマン帝国は休戦協定を締結した。
・1919年連合軍の分割占領に反対運動がアナトリアで起きた際、反占領抵抗運動の指導者に。
5月19日、港町サムソンに上陸した日をトルコ共和国開放戦争開始の記念日としている。
・1920年アンカラで大国民議会を開催。議長として革命政権へまとめあげていった。西方からのギリシャ軍をサカリヤ川の闘いで撃退。
・1922年イズミールを奪還。国民議会でスルタン制廃止。
・1923年10月29日トルコ共和国初代大統領に就任。大統領暗殺未遂事件後、反対派一掃の為共和人民党の一党独裁体制を樹立。憲法からイスラムを国教と定める条文を削除。トルコ語の表記もアラビア文字を廃止しラテン文字に。

【ケマル主義=世俗主義・民族主義・共和主義】
トルコ共和国の基本路線。アタチュルクは成功した正しい独裁者として今も国父としてトルコ国民の深い敬愛を受け続けていて、像や廟、通りの名前、トルコリラの肖像等、行き過ぎた神格化と批判も出る位である。現代トルコの政治思想における重要な潮流となっている。

【エルドリアン首相】
2003年より25人目の59~61代首相。公正発展党。
昨年5月パレスチナのガザ地区に支援物資を運ぼうとしていた船がイスラエルに捕えられトルコの活動家が9人死亡した件でイスラエルが謝罪しない為今月イスラエル大使を国外追放した。又13日カイロでのアラブ連盟の会議で演説し、「イスラエルはその攻撃的姿勢で孤立するだろう」と非難している。

一方、中国にもトルコ系イスラム教徒である新疆・ウイグルでの騒乱に同情し「同化政策を止めるよう中国政府に求める」と申し入れている。

EUへの加盟交渉は始まったばかりで停滞している。米国の中東政策への反感もあり民族感情が高まりつつある。ただ国内のクルド人への人権抑圧問題も抱えており他国の人権問題への介入は微妙な立場にある。

この国の政治的立場は本当に面白く全く眼が離せないが、民族自立の面では日本と違い羨ましい。
日本とは対照的で、爪の垢を煎じて飲みたい位である。

<宗教>


【何故イスラム関心を抱いたか】
勿論、私も普通の日本人なのでイスラム教について知識も無く、縁もゆかりもなかった。ただ外国に行くとイスラム教の存在が大きい国も多い。最初はバリ島でイスラム教寺院の外部からのカメラ撮影を禁止された事に始まる。その後モルジブやマレーシアで接したイスラムの若者達は皆生き生きした優しい人達が多かった。又インドのカリカットでは礼拝の声が街中に響き妙に落ち着く感覚に捉われた。その後中国の厦門でも泉州でもイスラム寺院が多いのにも驚いたものだ。マルコポーロより先に大航海した中国の鄭和はイスラムだったとも聞いた。

2001年の同時多発テロ以降、十字軍の話が持ち出されたりしてイスラムが敵でテロリストが多いという話には何となく違和感を持っていた。イラク戦争から10年、アフガニスタンも膠着から部分撤退
の流れの中でこの戦争は米国のいうシナリオ通りで捉えていては一面的過ぎ、相手国やイスラムの言い分もキチンと把握しないといけないと考えるようになっていた。

【小室直樹著日本人のためのイスラム原論】
この著作は文句なしに多くの日本人に読んで貰いたい。「一神教の論理」を知らずして現大世界を語るなかれ!から始まり、眼から鱗の話が満載だ。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はいずれも一神教であるが、イスラム教とキリスト教とは同じ一神教でも天地雲壌の違いがあるという。

イスラムでは、宗教とは法である。…法とは神との契約である。神との契約は宗教の戒律であり、社会の規範であり、国の法律である。この四つがまったく一致するのが宗教の理想であり、イスラム教はまさにそのとおりである。…

イスラムでは教えのエッセンスが「法を守れ」に縮約され、理解を絶するような教義は、一つもない。誰にも至極分かり易い…

一度通読しただけだからキチンと語る事は出来ないが、キリスト教の原罪論およびイエスの贖罪による人間の救済、三位一体説、予定説、神の国マリア…と言われてもピンと来ない。しかしイスラムの五行「五つの柱」は分かり易い。第一が信仰告白、第二が礼拝、第三が喜捨、第四が断食、最後が巡礼だそうだ。皆割合簡単に出来そうである。
そしてどうやらこの五行はそれほど厳格過ぎるものではないようなのだ。例えば断食は全信徒の義務であるが、妊婦や子供、或いは病人等は断食などしなくても、ちっとも罪の意識におびえる必要もまければ、憚ることもない。明確に定められた例外規定に従っていれば、規範を破った事にならないのである。…この合法的例外をいろいろ聞くと実に納得のいく事が多いのに驚くのだ。

損害保険会社で38年間勤めて来た私は資本主義の長所と短所を一応骨の髄まで沁み渡らせて来たと思う。2001年になって以来、いわゆる新自由主義に大きな違和感を抱いてその問題点をささやかに指摘して来たが、その矛盾が極大に近付いた今、このイスラムの教えはとても大切な教えであると感じている。

<最後に>
勿論63歳にもなって無宗教の日本人で過ごして来た私がこれからイスラムに入信する事はあり得ないが、凄く共感した上記小室直樹著の次の言葉で締めくくりたい。

現代日本の病根は「無宗教病」にあり
イスラムを知る者は祝福される
世界の宗教を理解するからである
世界そのものを知るからである
以上