2011年7月31日日曜日

福島原発について-その7

トルコ・アヤソフィア
「今抱えてしまった大きな問題点」のうち最後となる5番目についてです。

1.東電と政府の損害賠償責任について
2.福島原発放射線の影響と対策
3.福島原発事故の実態解明
4.日本の原発政策の本当の意義とは?
5.日本経済に与える影響と増税の可否

5.日本経済に与える影響と増税の可否
(政府は何故復興増税等という天下の愚策を強行しようとするのか?)

(1)根底にある増税の流れの背景

 そもそも何故現在円高なのか?について簡単過ぎる理由を認めようとせず、国民に隠し通そうとしているのが財務省です。理由は只一つ米国財政が破綻の瀬戸際にあるという事実です。
(菅政権はほぼ100%官僚のいいなり政権で野田財務相等は知識も覚悟も足りな過ぎで問題外)
 
これは今ちょっとおカネが足りないという次元では無く、米国中心の「国際金融システムのシステミック・リスク」であり、リーマンショックで多くの金融機関が破綻した後の深手がケタ違いに酷い事です。株式市場に大量の資金を投入して立ち直ったように見せかけて来たが、もうこれ以上の維持は難しく、本当の危機はこれから始まるのだという事です。

リーマンショックで大きく傷ついたのは欧米であり、日本は比較的軽症だったのでもっと早い段階で円高になるのが当たり前だったが、欧米が一生懸命にお化粧をしていたので今頃顕在化しただけ。日本も苦しいが米国・欧州の方がより崖っぷちなのです。

日本が蓄えて来た1兆1378億ドル(2011.7.7財務省発表)の外貨準備高は中国に抜かれたとはいえ世界第2位の高い水準にある。この一部を売却し日本の震災復興に充てれば良いと私達素人は皆そう思う。しかし米国の属国である日本の財政の実権はずっと財務省が握っており、彼らは米国に忠誠を誓っている為か、決して米国債売却の検討を絶対に出来ない。このお金は既に米国に貢いだもので日本人はもう使えないと考えざるを得ないのだ。

888兆円もあっても使えないばかりか僅か10兆円程度の復興財源を全て増税で賄い公務員制度改革(公務員も身を切る)には一切手を付けさせないで国民に全て負担させようとしている。
こんな事は本来は許せないのだが隷米の自公政権やそれ以上に隷米を極める菅政権は米国の意向に決して逆らえないのでこの政権や亜流政権が続く限りやむを得ないのである。

(2)復興税→消費税増税への流れ作り
 
復興税の内訳は、まだ今後政府の税制協議会で詰めていく段階で詳細は未定。法人税と所得税の増税で広く薄く長くが基本方針のようだ。菅政権の言動を辿り、発足当初から復興委員会の論議を見れば極めて明快だ。最初は消費税増税を自公と組んで強行しようとしていたが元々根強い党内の反発の上に、大震災に襲われ反発が更に強まり復興委員会が当初予定していた消費税による復興増税の旗ををひとまず降ろし、当面は法人税と所得税増税で繋ぎ、2010年代半ばに消費税増税に切り替える腹積もりのようだが今度は財界が反発しており予断を許さない状況が続いている。

日本は1990年代初頭のバブル崩壊以降、原材料の高騰や中国・韓国等手強い競争相手の出現等で貿易等の薄くなった利幅をコスト削減により凌いで来た。とりわけ人件費を非正規雇用に切り替える事によりより圧縮して利益を拡大してきた。この為国内の貧富の格差が大幅に拡大している。  ここにリーマショック、東北関東大震災と続いており、ただでさえ困窮しているのに更に消費税増税すれば多くの低所得者の生活困窮に止まらず、消費減退→失業増大→大不況の到来→社会の大混乱→本格的衰退に繋がっていく可能性がある。

しかし増税が小規模に止まれば秋以降当面は震災復興需要により景気を持ちこたえる事が可能となろう。

(3)増税の前提条件=公務員制度改革先行が必要なのだが…

日本が官僚主権国家だという事はある程度言われて来たが、今回の福島原発事故発生以来その実像が次々に明らかになって来ている。皆が官・政・財・学・報複合体の利権構造のあまりの強固さ、複雑な絡み合いを知る事となり、その力関係や仕組みが連日twitterやブログ、書籍でより詳細に多くの人達に知れ渡って来た。

とりわけ経産省と東電・学者・マスコミによる原発事故原因報道の隠蔽、放射能拡散状況の隠蔽、低線量被曝の危険性隠し、計画停電等電力供給不足煽り、反対者への圧力強化等でひたすら原発稼働再開に繋げようとする強引さは、連日連夜全て多くの国民がはっきりと目にした事である。
あらゆる手段を総動員して現行体制を守ろうとする姿勢に、彼らに対する恐怖感・警戒感もさる事ながらある種の哀れさが漂うと言ってよい。もう何も見えずに権限を振り回せばこれまで通り乗り切れると本当に思っているのだろうか。保安院のとかげの尻尾切りだけはやむを得ないと諦めたようであるが。

今や日本人でゆとりが残っている層は縮小しており各分野の一握りの成功者以外残っているのは公務員だけである。この人達が全く自分達の身を削らず、あらゆる利権は手離さず、国民のみに負担を強制する冷酷な人達である事も連日明らかになってきている。

年金原資の行方も話題になりだしている。少子高齢化で社会補償費の抑制も必要だ。制度改革や消費税増税もいずれは避けて通れない課題なのかも知れない。しかし財務省・マスコミの財政困窮キャンペーンは国の資産を無視し負債のみを強調したあまりに幼稚なPRである。もし財務省・マスコミのいうような危機的状況ならもうとっくに円の暴落になっている筈なのだ。事態は全く逆な事はもう知る人ぞ知る状況で、騙しはもう効かないのである。
将来消費税増税が必要でも、その前に国家公務員の待遇切り下げが先決・必須条件なのでありこの問題を実行出来る内閣の実現が求められるのである。

(4)米国の日本支配進展の深刻さ

ソ連崩壊後米国のターゲットは日本になり、年次改革要望書によって日本経済を支配下におく戦略が続いてきた。2000年以降行き詰まった米国はイラク戦争等で打開を図るが、逆に更に財政困窮が深まって来た。今は財政再建を福祉切り下げでやるか富裕層増税でやるかで揉めている。軍事費削減は二の次のようだ。

急増する米国債の買い手は中国と日本だけだったが中国も歯止めがかかり、米国財政の破綻を避けるため日本政府への圧力は私達の想像を絶するレベルである事だけは想像がつく。これに軍事的面からの圧力もあるとしたら私達に対抗手段はあるのか?核の存在が噂される基地と潜水艦に国土を占拠され、日本の実権を握る財務・外務・防衛・法務・経産官僚全てが日本の首相より米国の意向を重視して揺るがない事務次官に率いられているとすると事態は深刻を通り越しているのかも知れない。
福島原発事故の収拾が事故当初早い段階から米国高官によって指導(実質的には指揮?)されているという情報も人口に膾炙され始めている。

結局日本は米国債の買い支えとドル暴落・円高による債券の価値の大幅減少に見舞われる事は避けられない状況になって来ていると思う。

(5)今後の東電存続の形態と電気料金について

それにしても総括原価方式とは凄い制度だ。これが資本主義である訳がない。コストが高ければ高い程利益が上がる制度なのだから驚きだ。原発投資も大きければ大きい程いいし、政府・マスコミ・地方自治体への各種支出も原価に入るので接待も広告も懐柔策も手厚くやればやる程利益が上がるようだ。東電も経産省も御用学者もこんなうまい構造を手離すまいとしてあらゆる抵抗を繰り広げるのも当然だろう。この点はまだ改善論議の俎上にも上っていない。

原子力賠償責任法の修正案(原発の損害賠償支援機構法案)も損害賠償を国民に押し付け国費を無制限に投入して東電の存続を守る仕組みであり本当に許し難い内容だと思う。しかしこの内容はあまりに理不尽である為このまま成立してしまうと不公正過ぎ歪みが大き過ぎていずれ損害賠償や投入する税金の大きさに耐えかねるなど社会に混乱が起きるだろう。

個人的には電気料金を勝手に値上げすれば自衛手段を講ずるしかない。これ迄電力消費が贅沢過ぎたので節電余力は大きく、家計の健全性維持の為にも節電で電気料金を削減する動きが強まるだけだ。いずれ受電分離や蓄電・自家発電・自然エネルギーへのシフト等で吸収可能で何とか負担増を避けていけるのではないか。

(6)終わりに

Twitterやブログの内容を監視して統制強化を図ろうという経産省・資源エネ庁の試みは失敗に終わるだろう。巨大利権構造と高待遇に安住して来た人達の知的レベル・総合的能力が相対的に低くなり過ぎているからだ。採用も偏差値と従順さ血縁でしているようだ。社会の前線で生存を掛けて闘っている人達や各分野で才能を必死に磨いている人達、豊かでなくても生活確保に命懸けで努力している人達の研究心、身につけたスキルの方が遥かに貴重だと思う。この人達の力を甘く見て、ただ税金や各種公共料金を絞り取る対象と考えているだけではそうはいかないだろう。

強権で統制・規制と分断を図る官僚達と実態に目覚めた多くの国民の力が結集されて対抗出来るのかどうか毎日見極め乍ら、結集に向け少しでも力になれるようにしていきたい。


尚、ここではあまり触れなかったが日本のマスコミ情報では「米国経済・軍事・社会の実態について」正しい情報が不足し過ぎている。これからの一両年の米国の動向は日本に多大な影響を及ばすので激動の方向性・その原因を正確に把握する事が本当に重要な局面になって来ているので心していきたい。                                                  
以上                                               

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