遅くなったが、前回提起した「今抱えてしまった大きな問題点」のうち今回は2番目についてです。
1.東電と政府の損害賠償責任について
2.福島原発放射線の影響と対策
3.福島原発事故の実態解明
4.日本の原発政策の本当の意義とは?
5.日本経済に与える影響と増税の可否
2.福島原発放射線の影響と対策
このテーマも政府・東電が実態を隠すのに必死なので見極めるのに手間取った。ここに来てようやく政府以外の組織・個人や外国メディアから情報が流れだし、実態を覆い隠せなくなって来ている。現段階ではっきりして来た事実を踏まえ考えて見た。
(1)最大の問題点
起こってしまった事があまりにも大き過ぎた為か他に理由があるのかは別に論議が必要だが、政府の方針は次の3つだと思う。言葉の言い回しの巧拙を別にすればある意味方針は一貫しており明確で分かり易い。
①事故が大き過ぎるので国際基準通りにすると退避すべき地区が厖大になり過ぎるのと、損害賠償額がどこまで拡大するか分からないので、事実を出来るだけ隠せる間は「なるべく長く隠蔽する」。後で隠蔽や嘘がバレテも構わない。何事も解決出来ないので誤魔化し曖昧に先延ばしするしかない。
②事故の進展中のリスクが確定出来ず幅がある場合は本当は最大になりそうな事を認識していても、必ず希望的に少なめに評価して発表する。後で過小評価であった事が判明する可能性も強いのだが、「その場さえ凌げれば良い」ので構わない。
③真面目で最低限因果関係が明確になった事しか認めない慎重な学者か、恥知らずの不勉強でおよそ学者とも言えないような人達も見境なく使い、安全でないのに「安全とは言い切れないが安心」だと言う論理をとにかく押し通す事。広島・長崎・原水爆実験・米国の原発関連・チェルノブイリ等の被曝者の被曝の研究はかなりある筈だが、被曝と発症の因果関係についてはグレーゾーンが幅広いので原発推進学者と脱原発・反原発学者とでは評価が分かれていて双方の見解に大きな開きがあるのだ。
この3つで事態を乗り切って行こうとしているが「現実に眼を背けた判断」である事が最大の問題だ。
つまり多くの日本人に「被曝の危険性を伝えない」で、被曝を受忍させ、いろいろな健康障害が出るのも先の事なのでその時になって「健康障害が発生してから対応すれば良い」という考え方である。
中でも許せないのはWHO総会で、今回の事故で多くの被曝者の疫学的調査が可能になり人類に貢献出来る等ととんでもない事を平気で言う大塚厚労副大臣だ。ある程度の発生の可能性を認めていながら避難する事は勧めていない。どう見ても大量人体実験である。やはりエリートの人権意識とはこんなものかという事を再認識させられてしまった。
この方針を死守しようとする意志は極めて強固で何があっても揺るがないようだ。絶対にそれ以外の意見は受け付けない様子を見ると「お粗末な方針を徹底して守り抜こうという意志の強さの源は何なんだろう?」と考えてしまう。
(2)今後のポイント
もう多くの方々が詳細に見解を出してくれているので、大きくは特段何も言う必要は無くなった。チェルノブイリに匹敵する放射能が飛散していて、「これからも長く出続ける事」ははっきりしており、福島や近県は言うに及ばず、東京の程度も酷い状態であることが分かって来たからである。その中で放射能と対峙する上でどう対処したら良いのか、主張したい事や追及が必要なのは次の3点である。
①福島県の「計画的避難区域」の人達は故郷を去らざるを得なかった人達も信念で土地で生き抜く判断をした人達も、キチンと東電・政府に損害賠償請求して貰うべきだがその点がどうなっていくのだろうか?又、福島やそれ以外の地域で実際に被害があるのに風評被害として括られたり自主的に避難した人達の損害賠償はどうなっていくのだろう?→これらのケースに東電・政府は誠実に対応し適切な額を補償すべきであろう。
「警戒区域」の人達に対しても今後の見通しをより正確に判断して早く伝えるべきだ。ある程度の幅はやむを得ないが、なし崩し的にどんどん後ろにズレテいく事だけは避けるべきだ。原発推進の方針が常に楽観的過ぎてなかなか実現しない事例は枚挙に暇がないのだ。
②福島の他の場所(郡山市や福島市等放射能数値の高い場所は特に)の若者・子供達・乳幼児・胎児が本当に心配である。この中から一定の割合の人達が国策の原発の最大の被害者になる可能性が充分あると思う。
東大の中川教授や長崎大の山下教授は立派な学者だろうが、欠点は原発推進のPR役に忠実過ぎると思う。放射能と症状の因果関係を極めて制限的に完全に明確な場合のみ認める人達だと思う。
一方チェルノブイリ等の被害に向き合って来た人達は、因果関係を認められなかった多くの被曝の事例がある事を訴え続けている。ICRPでは認められていないが被曝との関連を窺わせる多くの事例があると思われる。
癌や白血病等の明確な症状には至らない体調不良が水面下で多数存在するのではないか?
国・自治体は少なくとも世界基準を緩和するのに反対の学者の見解を厄介者扱いにせず、謙虚に耳を傾け、住民の懸念を払拭する最大限の努力をすべきなのだ。この点高木大臣以下政務三役・文科省は完全に落第生だ。
③東京等の首都圏ですら放射能の飛散状況は酷いものだ。私は今の所辛うじて東京に踏みとどまっているが、今後の福島原発の状況次第では避難する可能性も念頭に残っている。1~4号機ともいずれも安定にほど遠いが、今後あまり大きな再臨界・水蒸気爆発の危険性がないのであれば放射能を甘受して踏み止まるのだが。
しかし新宿でも高さ18m?の所で計測するのは子供騙しが過ぎる。放射性物質は地上50センチ以内で90%位あると言う話もある。東京も各区毎に1m以内の高さで測定して毎日公表し続ける体制を作るべきだ。又、空気に漂う分の外部被曝は大体わかったが、食品による内部被曝については政府・自治体ともその把握・発表にあまりにも消極的過ぎる。内部被曝の可能性を除外・軽視せず、その危険性についての注意喚起をし対策を公表すべきである。
又、野菜だけでなく海産物の安全性についての情報があまりにも少な過ぎる。水産庁でやらないのであればグリーン・ピースにもっと自由に調査を許可すべきだ。そのうちパニックで東北・関東の魚を今以上に食べない事態になりかねないと思う。
【最後の疑問点】
ヨウ素やセシウムだけでなくストロンチウムやプルトニウム等の危険な核種も計測・発表する体制を作って欲しいが、放射能の放出が続いており数値がまだ増大傾向なのと再臨界の危険性がある時等で逆に公表を抑える動きが再び出始めている。初期のスピーディーの情報も、メルトダウンの情報も全て隠蔽して来たが一応現時点では公表された。しかし唯一プルトニウムについては公式には殆ど情報が出されていない。3号機・4号機の状況について写真・カメラによる内部の情報はまだ全くない状況が続いているし、プルトニウムの毒性についても軽視する発言が多いままだ。軍事機密との絡みもあるのか?本当に触れられたくない事のようだ。
こんな中で脱・反原発学者や市民・ジャーナリストが独自で計測して情報を発信するネットワークはどんどん拡大しているようだ。この動きの拡がりはかってない勢いがあり、これに制限を掛ける事はもはや無理だろう。やれば政権の命取りになるだろう。(やらなくてももう終わるだろうが〉
とにかくこんな隠蔽・嘘つき・逃げ腰・先送り政権は早く消えて無くなれ!
【参考リンク】以下の3つ以外にも多くのツイート等に教えて頂きました。
http://fukumitsu.xii.jp/syu_f/FukushimaGenpatsu_1.html(福島原発事故)
http://kingo999.web.fc2.com/kizyun.html(世界も驚く日本の基準値)
http://gendai.ismedia.jp/articles/print/5688(あなたの町の「本当」の放射線量)
以上
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